ポーダブル電源でのOCR試験に問題あり

先日、現場の継電器試験用に購入したポーダブル電源を使ってOCRの試験をやってみました。



試験は、オムロンのOCRと東芝のVCBにて実施しました。
双興の継電器試験器の電源をポーダブル電源と商用電源から受電し、HIOKIのメモリハイコーダで測定、比較しました。

↓メモリハイコーダーの表示



一番上の赤線はVCBの実接点、その下の白線はOCRのａコン出力、黄色の正弦波が電源電圧、その下の青はリレー試験器の出力電流、一番下の緑はVCBトリップコイルの電流。以上のデーターで比較試験を行いました。
上の写真は、商用電源にてT-4A、D-0.25、300％電流でオートで試験したときの画像です。
スタート時の電流の立ち上がりです。

↓CBトリップ時の画像



電流値が動作レベルになると、出力リレーが動作し、ｂコンが開きトリップコイルに電流が流れ(緑）、CBがトリップします。（赤）

同じ動作をポーダブル電源受電で確認しました。



継電器試験器から試験電流が流れると、電源電圧の波形が乱れました。試験電流の波形も商用の時より乱れが大きい。

↓トリップ時の波形です。



リレー動作時の試験電流とトリップ電流の波形は商用のばあいと大差ありません。
試験電流がトリップ電流に切り替わると、電源電圧の波形は正弦波に戻りました。

この試験で商用の時もポーダブル電源の時も試験器の時限カウンターは289msecでした。メモリハイコーダーの測定値も全く同じでした。

試験電流が流れるとなぜ電源の波形が乱れるのか？全く分かりません。又、この現象が試験器の動作にどんな影響が起きるのか？
・・・・
そこで他のポイントでの確認を行いました。
商用とポーダブル電源の波形は、他のポイントでも同様な現象が起きました。
時限測定試験の結果は下表のとおりです。



2～3％長く表示されています。
動作時間が短い範囲では、限時要素の管理値からは問題無い値と思われるが、電源波形の乱れを見るとこのままでは、試験器の電源装置への悪影響があるかもしれません。（たぶんメーカーは保証できないと言われるでしょう）

インバーター特有の特性かもとも思い、所有する車載電源にても確認してみました。
ちなみにこちらは、未来舎のインバーターと外国製のリン酸鉄リチウムバッテリーの組み合わせです。



こちらは商用と同様に正弦波は乱れませんでした。

このポーダブル電源装置と双興のOCR試験器との相性の問題のようです。
実害があるかどうかは分かりませんが、試験器にリスクもありそうなのでどうしょうかな？といったところです。

後は、位相試験器など他の試験器の電源として使用したらどうなるか？と他のメーカーのポーダブル電源を使用したときどうなるかなど確認してみたいと思います。